「ロッキン・コミック」
JICC出版局(現・宝島社)刊 1989~1990

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プレイヤー系音楽誌「バンドやろうぜ」の臨時増刊として1989年から1990年にかけて発行された、ロックを題材にしたマンガ雑誌。B5版で250ページ弱、定価450円。

第1号は1989年11月発行(画像手前右端)、この画像からはよくわからないけど表紙はマラカスを持った山瀬まみ。この本が出た当時はもちろんバンドブーム期で、1985年にアイドルデビューした山瀬もデビュー前はロック好きだったことが発覚して以降「ロック的」な売り方をされていたんである。作家陣に当時人気のロックアーティストらを起用した「親指姫」なるアルバムを出してみたり、各メディアで「実はロック好き」と公言してみたり。特に「宝島」関連各誌では一時期「山瀬はロックだ!!」の文字がやたら躍っていたと記憶している。


さて内容の方はというと…
まず表紙をめくると多田由美のカッコいい白人青年イラストが。目玉の執筆陣は岡崎京子に泉昌之、しりあがり寿、桜沢エリカ、みうらじゅん、うのせけんいち、吉田戦車、天久聖一、喜国雅彦、加藤賢宗、湯村輝彦、原律子…といったいかにも「宝島」的+「ガロ」的な作家や音楽好きで通っている作家ばかり。名前の羅列だけ見るとまるで初期「VOW」の4コママンガのようだ。(加藤賢宗はもちろん「いぬちゃん」!)

表紙でもっとも扱いの大きい作品の内容をちょっと書き出してみると…

岡崎京子「RUDE BOY」
1話完結物の作品が多い中で唯一の連載物。
条例で何故か音楽が禁止された街の「非合法」ライヴハウスに出演するバンドマンに恋した市長(音楽禁止条例を作った張本人!)の娘の話。

泉昌之「CSN&Y」
タイトルの「CSN&Y」とはクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングではなく、長次郎、秀二郎、直次郎、安二郎の戦中を生きたお爺ちゃん4人組による伝説のフォークバンド。彼らの10年ぶりの再結成ライヴはオーバー65歳たちの熱狂の坩堝と化し、死人・怪我人続出。

しりあがり寿「小さな恋のメロディ」
何故か団結力を買われて宇宙飛行士に抜擢された某高校の野球部員達の一見楽しそうで切ない話。

…その他ロック界にうごめく人々の生態観察的なマンガがいっぱい。


つづく1990年1月に発行された第2号(画像手前中央)も同趣旨で、当時バンドブームの象徴的存在だったJ(S)Wにまつわる作品も掲載されている。そして懸賞の賞品が「フラワーロック」(*1)というのが笑える。

第3号(画像手前左端)は1990年4月発行、今度はゴーバンズの伝記漫画とのちに「Bバージン」がヒットした山田玲司の作品が。

そして版型をA5に縮小、誌名を変更して90年5月に発行されたのが「マンガ宝島」(画像上中央)。
ロッコミ唯一の連載モノである「RUDE BOY」は健在だが、創刊号で投稿募集していた「ロッコミ漫画大賞」の入選作品など創刊当初に比べて新人作家(?)の作品の割合が増えている。また、何故か巻末に「美味しんぼ」の実写パロディ漫画もある。
ちなみに表紙の人物はクラック・ザ・マリアンというバンドのヴォーカリスト。バンドブーム後期にメジャーデビューしたバンドで、同誌には彼らの結成からメジャーデビューまでを描いた伝記漫画も載っている。あいにくブレイクはしなかったようだけど。
(のちの90年代末に登場したゼリ→を初めて見た時、何故か彼らを思い出してしまったことは内緒。)

そしてこの「マンガ宝島」を最後に、バンドブームの沈静化に呼応するべく「ロッコミ」休刊。
まさに時代の徒花のようなマンガ誌だった…


「RUDE BOY」の結末、読みたかったなあ…(泣)。



*1 1990年前後に流行した音に反応する鉢植えの花状の人形。